夫婦でanone,をしてセクシュアリティを可視化してみた

今回は夫婦それぞれのセクシュアリティについて。

anone, というサイトを使って4つの切り口から各自のセクシュアリティを分析し、その結果を見ながら対談しています。

4つの性は

・こころの性:Gender Identity
・恋愛指向:Romantic Orientation
・性的指向:Sexual Orientation
・表現したい性:Gender Appearance

※それぞれの詳細はanone,をご覧ください。

なお、結果はanone,のサイトに”医学的・科学的に基づいた分析ではありません。また、セクシュアリティは変動的なものであるため、あくまで「まだ知らないあなたを探すきっかけ」としてご利用下さい。”と記載されている通り、厳密な解釈というよりは、対話のきっかけや自分発見に使うのが良いかなと思います。

Tomayokiもこのサイトで分析を進める中で初めて見聞きする単語もたくさんありましたので、まだまだ理解を深めている最中です。自分自身の結果を見ながら、自分の考えや捉え方などを順番に話していきます。

2人の結果

とも

  • こころの性:Gender Identity
    • シスジェンダー:体の性とこころが一致している
  • 恋愛指向:Romantic Orientation
    • ヘテロロマンティック:異性に恋する
    • デミロマンティック:強い信頼関係で恋に落ちる
  • 性的指向:Sexual Orientation
    • アセクシュアル:愛に体のつながりはいらない
  • 表現したい性:Gender Appearance
    • ノンバイナリー:男性でも女性でもないアイデンティティ

まよ

  • こころの性:Gender Identity
    • シスジェンダー:体の性とこころが一致している
  • 恋愛指向:Romantic Orientation
    • ヘテロロマンティック:異性に恋する
    • デミロマンティック:強い信頼関係で恋に落ちる
  • 性的指向:Sexual Orientation
    • ヘテロセクシュアル:異性に対して性的な欲求を抱く
    • デミセクシュアル:強い信頼関係が愛になる
  • 表現したい性:Gender Appearance
    • ノンバイナリー:男性でも女性でもないアイデンティティ

こころの性

まずはこころの性からだけど、これはお互いシスジェンダーという結果だったね。わたしはこの結果に違和感はなかった。いままで体と心の性が一致しないかもと悩んだことがなかったからね。

同じくです。自分の性に違和感をもったことは今のところなかった。体に違和感のある場所もないかな。自分の体毛が嫌いなくらいで。

もしかしたら、自分の心の性が男性であることに自分で気付いていない、なんてパターンもあるのかもしれないけど、それはそうなった時に考えることにして、まずは「世の中にはそういう人がいるんだ」と理解することから始めたいと思います。

恋愛指向、性的指向、表現したい性と絡んで実感することも多そうだよね。生物的には男性で、こころは女性で、恋愛指向がレズビアンだったとしたら、外見的にはヘテロロマンティックに見える、ってこともあるね。

外見的には、ね。でも実際はそんな単純な話じゃないんだろうという想像は出来るね。せめて想像力は失わずにいたいものです。

恋愛指向

恋愛指向についてはどうでしょう。異性に恋するヘテロロマンティックで、かつデミロマンティックという同じ傾向だったね。

同性に憧れのような感情を持った経験はあれど、本格的に恋したことがないので、ヘテロロマンティックというのはそうかなと思う。デミロマンティックというのも、説明を読むと納得感があるかな。
そもそも元から知っている人じゃないと好きにならない傾向がある気がしていて。「この人の見た目めっちゃタイプ!」と思うことがあっても、そのまま恋愛感情に発展することはない、とかね。

自分の場合、中学高校が男子校だったのだけど、周りにはカップルだったかはわからないけど距離感の近い人たちもいたな。
自分はそういう感じではなかったし、これまでも異性に恋して違和感なかったし、同性に恋をしたことはなかったな。同性でかっこいい人、魅力的な人はいたけど恋ではなかったな。自分も男を好きになることあるのかな、と考えたこともあったけど、今のところそうなったことはない。
僕らはデミロマンティック同士だからこそ、信頼関係を重視した関係性づくりをしていたのかもね。出会いを振り返ってみると。2人の出会いについてはこちら
デミロマンティック以外の、リスロマンティック、アロマンティック、ポリアモリー、ガイネ/アンドロセクシュアル、クォイロマンティックなんかの説明を読んでみても、一番デミロマンティックがしっくり来ました。

anone,に記載されている以外にも世の中には色々な分類があるかもしれないけれど、少なくともanone,に載っている中ではデミロマンティックが一番しっくり来るというのはその通りだね。

他の傾向があるのを知ると、自分自身の傾向も知れて面白いよね。かつて他の人の恋愛の話を聞いて「そんなことある?」って驚いたことも、この傾向が全然違う人の話だったんだな、と気づいたよ。

振り返ってみると、もしかしてアロマンティックだったのかなと思う人はいままで知り合った中にいたりしたな。当時の自分が無知だったからというのはあるけれど、そういう人に対して理解のない失礼な言動をしてきてしまったような気もするから、反省して、「色んな人がいる」ということを忘れずにいたいです。

自分自身も、1回目の分析ではリスロマンティックという結果が出たしな。こちらもそれなりに当てはまる気もしている。

常に100%何かの型にはまったり言い切れるというものではなく、あくまでその時々の状態によってグラデーションのどこかに位置付けられるということだね。

フランスのモン・サン・ミッシェルで撮れた二重の虹

性的指向

では続いて性的指向について。ここは少し2人の傾向が分かれたところかな。

共通して言えるのは二人とも性欲が薄いということですかね。わたしがヘテロセクシュアルなのはその通り。
デミセクシュアルというのは、今回初めて知った言葉だけれど、確かに良く知りもしない人とワンナイトするとかセフレを作ることは考えられないから、そういう意味では当てはまっていると思う。

自分のアセクシャルという言葉は、他のサイトとか見てみても意味が広そうで、まだうまく掴みきれていないところはあるのだけど、「愛に体のつながりはいらない」というフレーズは結構しっくりくるかな。
性的欲求がないんですか?と言われると違和感はあるのだけど、体のつながりが必須だとは思えていない。説明にあった“人に対する執着が薄かったり…(中略)…ときには周りから「冷たい人」なんて言われることも”にも身に覚えがある。

ともは本当に人に対する執着が薄いもんね。どうかわたしに対してだけは少しは執着してもらいたいものです。
我々はいわゆるセックスレス夫婦だと思うんですけど、それに関して「ずっとこのままでいいんだろうか」という気持ちがあったのね。ただ、「セックスレスであることに自分自身が不満を持っている」というよりは、ただ漫然と「いいのかなぁ」という「一般的には良くないことだぞ」という価値観に縛られていたところがあった。
けど、ともがアセクシャルかもとカミングアウトしてくれた時に全部すとんと落ちて、「ま、いっか、このままで」って思えたのがわたしの中では結構大きかったかな。
「ま、いっか」って思えたのは、わたし自身もデミセクシュアルで性欲がほとんどないのもあるだろうし、普段からスキンシップが多くてともがわたしを大事にしてくれていることはとても伝わっていたから、それで愛情を確認出来ていた部分もあるしね。

人に執着薄いのかな。でもまよを大事にしていることは伝わって良かった(笑)
漫然と「いいのかなぁ」と思ったり「セックスレスは良くない」「夜の営みで絆を深める」的なことは、言われたりもするじゃないですか。そういう感覚は自分にもあったし、まよがそう思っているかな、というのもあって悩んでいたのはあったね。自分も別にできないわけではないし。

あるあるだけど、「女として見てもらえなくなったんじゃないか」「自分に至らない部分があるからセックスレスになったんじゃないか」とおそれていた時期があったのは確かだね。

そういうことではない、というのは説明したとしても感じてもらうのは、「アセクシャルだ」という話がないと、なかなか難しかったよねきっと。今までしていたことをしなくなった、と映ったと思うし。でも実はそれまでの方がちょっと無理をしていた、みたいなカミングアウトでした。
絶対無理ではないのだけど、自分の中ではそんなに好ましいものではなくて、それ以外に様々な形で愛情とか信頼とかを深められると思っている、って感じかな。
これを全く理解できない、理解はできても耐えられないって人もいると思うのだよね。

理解が得られるかどうか分からない中で打ち明けてくれたのは本当に勇気が要ったことだと思うし、それについては本当に感謝しているよ。おかげでわたしも「いいのかなぁ」という無駄な悩み?を手放すことが出来たわけだし。
もちろん、性的なつながりによる絆の深まりを否定するわけではないけれど、我々はそういうものがなくてもパートナーとして関係を確立出来ているというだけの話だよね。

まよが受け止めてくれたのはすごく嬉しかったよ。まよの言う通り、そういう絆の深め方もあるとも思っているから、肩の荷がおりたし、気持ちが楽になって、逆に前向きになれたところもあるし。
一番最初に「ああもしかして自分はこれなのかも」って思った記事が昔あったのだけど単語をすっかり忘れてしまって。何度か自分はそういう傾向あるかもってことをその記事を見せながら伝えたいと思ったこともあったのだけど、いっこうにたどり着けなくなっていたので、anone,には感謝です。
あとは、アセクシャルと関係するかよくわからないけど、人とそういう話をするのも基本的にすごく苦手で。関連する単語を発するのもあまり得意ではない。特に思春期ってそういう話題が同性の集団の中だと出がちなのだけど、さっぱり面白くもなく、できる限り加わりたくなかった。

わたしは大学生の頃、生々しい話をするのが日課みたいなところがあったからそこはともと違うかな。でもさすがにこの歳になるともうそういう話を持ち出す人もいないし、逆に話を振られても「何であなたにそれを言わなきゃいけないんですか」って感じちゃうね。
プライベートなことだし他人と性的な話をする必要はないけれど、少なくともこうやって夫婦間で腹を割って話したことは、我々にとってはプラスになったよね。
お互い気が楽になったと思うし、「我々はこのままでいいんだ」っていう自信にもなったんじゃないかと思う。話し合えずに悶々としたままだったらすごく勿体なかったと思うよ。

だね!話せてよかった。なかなか勇気はいるけども、そういうすれ違いを感じている人にとってanone,はきっかけになると思った。

性的なことって相手に強要していいものではないからこそ、わたしはともに「何でわたしとセックスしてくれないのよ!」って迫るようなことはしたくなかったし、しなくて済んで本当に良かったと思っているよ。
anone,みたいなサービスを上手に使って、それぞれのカップルが各自の落とし所を見つけられるといいよね。

相手が望んでないことを強要するのは、相手を踏みにじることにもなるもんね。どちらかが我慢して、相手に合わせるのが解決策ではないよね。

表現したい性

自分のことを「ノンバイナリー」と言い切っていいかどうかだけはちょっと自信がないかな。ただ、「女らしさ」とか「モテ」といった言葉が苦手なので、そちら寄りの部分はゼロではないと思う。

まず「表現したい性」っていうのが、いい言葉だなと思った。
自分の場合、性自認はシスジェンダーだけど、表現したいのって「男らしさ」とかよりも「中性的」みたいな方がしっくり来る。特に思春期の頃はそうだったかな。顔が色白で、顔写真付きの会員証で女の子だと思われたことがあったのだけど、それはどちらかというと嬉しかった気がする。
ちなみにノンバイナリーって性自認に使う言葉なのかな?

ググってみる限りだと「性自認」に対して使っているケースが多そうで、そこがanone,とは異なるなと思って見ているところだよ。

個人的には、性自認としてはシスジェンダーで違和感ないけど、表現したい性としては別に男らしさは意識していなくて、逆に女らしさを求めているわけでもなくて、曖昧というかブレンドしている感じだな。
anone,にある“男性でも女性でもないアイデンティティで、こころの性と一致しないことがたくさんあるんです。 例えばこころの性は男性でも、中性的な服装が好きだったり”という記述がまさに当てはまる感じだな。

最近増えてきたけど、ユニセックスのデザインが好みに合う割合が高い気がしている。年齢とか体格で似合うものも変わるとは思うけど、男性、女性というのを強く意識してはいないな。
男性が化粧しても全然良いと思っているし、ネイルとかも良いなって思うし、スカートとかハイヒールも良いのではと思っている。自分が着てみたりやってみたときにしっくりくるかはわからないけど、興味はあるね。

ともはメイクもネイルもスカートもハイヒールも似合うものが見つかると思うから、サイズが合うものがあれば試してみればいいと思う。
わたしはどうだろうな、フリフリのスカートとかは元々似合わないから履かないし、休みの日にはパーカにTシャツにデニムというスタイルが一番多いから、中性的な方に寄せようとしているのかしら。でも自覚的にしているわけじゃないから、あまり分からないなというのが正直なところ。
どちらかというと、ファッションとかの見た目よりは「女は家事が出来なくてはいけない」といった社会規範みたいなものに抗いたい欲求の方が大きいかも。

メンズスカートについて発信している平林景さんとか、メンズメイクとかも少しずつ認知されているのかなと思いつつ、まだ珍しがられる感じではあるよね。隠れてやるものっぽいというか。
自分の場合は、社会規範とか男女っぽいとかはなんでも良くて、綺麗とか美しいとか、自分の気分があがるっていうものに素直にいられると良いな、って思っている感じかな。

わたしはコスメとかメイクが好きなんだけど、それって女だから嗜んでいる、というわけじゃなくて、メイクすることで自分の顔が変わるのが面白いから好きなんだよね。キャンバスにお絵かきをしている気分。
そういう「楽しい」とかの感情に素直になることに抵抗を覚えてしまったり、周りから白い目で見られたりとやかく言われることが減っていくといいなぁと思います。
逆に、女だからメイクしなきゃいけないとかもないと思う。するもしないも本人の勝手でしょと思う。

同感です。自分はマーク・ブライアンさんinstagram)みたいに堂々とする度胸はまだないのだけど、カッコいいなって思う。自分は周りの目を気にしちゃうから。
でも例えば撮影とかあれば男性でも軽く化粧して綺麗にしたりするのだから、別に普段からしても良いとは思うのだよね。変わるのが面白いっていうのを男性も楽しんでみれば良いじゃないかと。もちろんやっている人もいると思うけど。

いきなりタイトスカートとピンヒールだとハードルが高いかもしれないから、まずはshu uemuraのユニフォームみたいな「ジェンダーレス」な服装から入ってみるのもいいかもしれないよ。二人で同じ服を着たりしたら楽しいんじゃないかな。

楽しそうだね!自分の場合だと、スカートもミニとかタイトが素敵と思っているというよりは、サルエルパンツの延長みたいな感じでロングスカートとか履いてるのは全然良いのではと思っている感じだな。

まさに平林さんが履いているようなスカートだね。サイズが合えばわたしのスカートを貸してあげたいくらいだよ。

自分の体は男性では細いほうとは言え、やっぱり女性ものは上着とか肩周りが窮屈なんだよね。
体つきとしては、若い頃はそんなに気にしていなかったんだけど、最近は筋肉つけたいなって気持ちはあるな。ただそれもマッチョになりたいというよりは、その方が健康的で自分の中の素敵に近いからかな。

筋肉がないとヒールで歩くのも大変だからね。いつかヒールを履く日のために鍛えるのもいいと思いますよ。

ハイヒールで歩くの大変そうだもんね。足腰には悪そうだけど、綺麗だなとは思う。
自分はTシャツをかっこよく着られる上半身になりたいという願望もある。
まよも筋トレやるもんね。

トレーニングを始めたばかりの頃は「何を目指してるの?」って笑われたこともあったけど、最近はフィットネスのコンテストに出場する人も増えて、「鍛えている女性」の存在が珍しくなくなったような気がするよ。こうやって世の中から偏見がなくなっていくのかなと思ったりした。

そうだね。鍛え方によっても男性らしさ、女性らしさが際立ったり、逆に抑えられたりすることもあるのかな。皆が自分なりのしっくりくる姿を自然に目指せると良いよね。

そうだね、外見だけではなく中身も「男だから・女だからこうあるべき」から解放されていけたらと思うけど、とっつきやすいのは外見なのかもしれないね。我々は筋肉はないから、まずは服から始めるのが良いかもしれない。

外見を中心に話したけど、そういえばしぐさとか手の動きとかが女性っぽいと言われたこともあったな。そんな綺麗な言い方ではなく「おめえ、女みたいな動きすんな」って感じだったけど。
力強い、がっしり、みたいなイメージとは全体的に違ったんだろうな。

ともは痩せているから尚更そう見られがちなのかもしれないね。わたしも「女子力がない」って言われ続けた時期があったな。女子力って何やねん!っていまになってみると思うけど。
今回診断してみてノンバイナリーと出たけど、自分自身のことを「男とも女とも当てはめきれない」というほど枠組みを超えた存在とは認識していなかったから、そこが意外だったかな。フリフリのお洋服は着ないし、デニムばっかり履くけれど、かと言ってスカートを履くことに違和感を持ったこともなかったし。
とはいえ、世の中にある「男らしさ・女らしさ」の押し付けにNOを言いたい気持ちは元々持っている方なので、「自分らしさ」を大事にしていきたいなと改めて思いました。

自分もいろいろ言ってみたけど、自分自身を「男と表現すること」に違和感を強くもってはいないけど、男らしさに当てはまらなかったり、男性がまだあまりやっていない表現に許容度があるくらいなのかも、とも思ったりもする。
いずれにせよ、まよとは、世の中の「男らしさ・女らしさ」に囚われずに、自分らしく表現していければ良いよねっていうのが共通していたのは嬉しかったな。

総括

改めて自分自身を客観的に分析してもらうと、自分でも「そうだと思ってた!」という部分と「そうだったんだ!」という部分があって面白いし、相手のこともより一層深く知れるような気がするね。

一言で言い表せない多様性とグラデーションがあるし、そういうものだよ、それで良いんだよって自分を肯定できたところもあって良かった。

今後もたまにanone,みたいに外部のツールに助けてもらったりしながら自分たちを振り返って、お互いへの理解をより深めていけるといいね。

Tomayoki
夫婦ユニットTomayoki。

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